自分には何ができるのか。
もう長い間ずっとモヤモヤしてきたような気がする。
震災などで 寄付金を支援する著名人の方々をみて
現地に駆けつけるボランティアの方々をみて
じゃあ自分には、何ができるんだろう。
大きなことが起こったとき、ダイレクトにすぐ支援できるのは、たくさんお金や時間のある人で。
今の自分はまずそれを持っていなくて。
それでも、この今の瞬間にも、助けを必要としている人は星の数ほどおられて。
じゃあ自分には何ができる??
年始に能登半島地震があって、こんな気持ちもどんどん大きくなっていた。
そんな折、
乗り換えのために歩いていると、女の人に声を掛けられた。大きな紙袋を持って、文庫本くらいのサイズの手作りのプレートを差し出して見せてきた。
書いてある。
「私はフィリピンからの留学生で、お金に困っています。
お菓子を買ってください。
1個500円、3個1000円。」
…………。
えっと…?! 確かに留学生っぽく見受けるけど…
でもお菓子ってどんな?? 買ってだいじょうぶなんか??
いろんなことを頭の中で巡らせながら、
えっと、じゃあ、500円のを… と言うと、
「ありがとうございます! 3個だったら1000円です。」
と言われる。
… これは、ボッタクリてやつなんか?? どうしよう…
またしばらくぐるぐると巡らせる。…けど、結局回答なんて得られず、
決めきれないので、もうフィーリングで
「あ、じゃあ……1000円のを」となる。
ありがとうございます! とすごく喜ばれる中
自分はぐるぐる まだ巡らせていたので、とりあえず
「がんばってください」と言ってお菓子を受け取る。
仕事先に向かいながら、2分ほどのこの瞬間のできごとを整理しようとする。
でも、いろんなことが頭の中をぐるぐる… 整理できない!
買ったお菓子にちらっと目をやると、明らかに、これで1,000円は高いように感じる。
買ってよかったのか、買わなかったほうがよかったのか…
どれだけ考えても、答えは出てこない。
……………………。
でも。
不思議と悔いがない。
胸の辺り、ざわざわしてるっていうより、むしろ
すっきりと明快。軽い。
じわじわと湧き出す感覚をゆっくりと飲み込んでいく。
「もしボッタクリでも、これでよかったのかな。」
帰宅後。
「え、それだいじょうぶ??! 食べやんほうがいいんちゃう?!」
わたしより危機管理能力が高めの夫の、予想通りの反応。
「そうやねん〜 すてたほうがいいんかなー⁇
でも悪い人には見えへんかったけどなー。見たことあるお菓子やけどな~」
「えー! 捨てたほうがいいんちゃう??!」
「そうやな~。」
やっぱり、の展開になる。
うん、それでもやっぱり、悔いはない。
そうかー。
買ったことが、よかったのかそうでなかったのか
ほんとうのところなんて、きっと誰にもわからない。
大切なことは、自分がどうしたかったか なんか。
買って、よかった!
仕事先がある駅に、時々ビッグイシューのおじさんが立っていることを思い出す。
これまでは ビッグイシューのおじさんに遭遇するといつも
買おうか、やめようか、、ウロウロしてたけど
出会ったときはいつも買おう。そうしよう。
ほんとうにちいさな、
でも、じぶんにとってはおおきな決心をして
数年間あったモヤモヤが晴れていく。
何かできない とか、 何か気になる とか、
自分で作ってる壁みたいな、膜みたいに薄いバリアみたいな
自分でも気づいていないくらいちいさな
迷いとか こだわりとか。
手放すことができると、ひとつ心が楽になって。
毎日忙しい中で、時々は自分の心や体に耳を傾けてみること。
何か感じる違和感とか、変化とか
汲み取ってみること。 向き合ってみること。
そうやっていると、 少しずつ、 少しずつ
この毎日を生きてくために 知らない間に武装しているようなものが解けて
ほぐれていく。やわらかくなっていく。
そうしたら、今度は自分の真ん中から もっとつよいものが生まれて、
それが昨日より身軽な自分を作っていってくれる。
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